兵法 2014 2 22
2014年2月21日の朝日新聞には、このような記事がありました。
「中国軍、尖閣諸島奪取を想定」 アメリカ軍大佐、昨秋の演習分析
アメリカ海軍の大佐が、
中国軍が昨年秋に実施した大規模な軍事演習について、
日本の自衛隊と激しい戦闘を繰り広げた末、
尖閣諸島や沖縄の一部奪取を想定したものだったと分析していたことが明らかになった。
(中略)
昨秋に中国南部などで陸海空軍が参加して行われた演習について、
「上陸作戦などを含む大規模なもので、
東シナ海で短期で激しい戦闘により日本の部隊を壊滅させる任務が加わり、
尖閣諸島や琉球諸島南部を奪取すると想定しているとしか考えられない」と分析した。
(引用、以上)
こうした想定については、
大方の予想は、日本の自衛隊の圧勝に終わるというものが多いでしょう。
しかし、ここで、私は、
日本のために、あえて、憎まれ役を買って出たいと思います。
つまり、私が中国の軍事指導者だったら、どう考えるか。
そういう想定で文章を書いていきましょう。
おそらく、日本は、負けるでしょう。
その理由は、兵士は、疲れるということです。
どんなに優秀な兵士でも、
いつか疲れ果てる時が来るのです。
日本の自衛隊は、士気が高く優秀であることは、
世界の誰もが知っています。
しかし、少数精鋭であることも知っています。
その少数精鋭の兵士たちを疲れさせれば、
中国軍は勝てるのです。
何も、勝つ必要はないのです。
相手が疲れるのを待つのも兵法です。
だから「日本の自衛隊と激しい戦闘を繰り広げる」必要はないのです。
今の中国人は、兵法というものを知らないのです。
日本のF15戦闘機は、老朽化が進んでいます。
つまり、わざわざF15と戦う必要はないのです。
F15の老朽化を加速させるだけで十分です。
そういう作戦を考えればよいのです。
さて、日本の自衛隊の予備役は少数です。
これは、長期戦を予想していないし、
そもそも、紛争に巻き込まれることすら想定していないでしょう。
軍隊において予備役は、非常に重要です。
予備役があってこそ、強い軍隊が実現するのです。
もうひとつ書いておきましょう。
日本の海上保安官は、士気が高く優秀です。
しかし、これもまた少数精鋭です。
ということは、領海侵入をしつこく繰り返し、
それを何年も続ければ、
いつか海上保安官も疲れ果てる時が来るのです。
相手チームのエース・ピッチャーが絶好調。
さあ、どうする。
その時は、全員でバントをすることでしょう。
4番バッターも、ピッチャーの前にバント、
いや、バントのふりをすればいいのです。
そのたびにピッチャーは、バント対策のためにダッシュします。
やがて、ピッチャーの投球フォームが崩れてくるでしょう。
そのとき、バントから強打に転じればいいのです。
それにしても「激しい戦闘により日本の部隊を壊滅させる」ですか。
さすが中国人、見栄と面子を気にしますね。
勇敢に戦って相手に勝つ。
確かにカッコいいですが、中国軍の損失も大きくなります。
今の中国人は、本当に兵法を勉強しなくなりましたね。
戦わずして勝つ。
これも立派な兵法です。
私は、2012年10月21日に「一石二鳥作戦」ということを書きました。
これが、中国にとって、ベストな戦い方です。
しかし、見栄と面子を気にする中国人は、
「そんな地味な勝ち方では嫌だ」と思ったのでしょう。
一石二鳥作戦 2012 10 21
これは、今年(2012年)の4月に書きましたが、
重要なことなので、もう一度書いておきましょう。
私が中国の軍事指導者だったら、どう考えるか。
南シナ海を押さえてしまえば、
東南アジア諸国だけでなく、日本も支配できると考えるでしょう。
軍事的には、日本を占領する必要はなく、
南シナ海を押さえてしまえば、十分です。
後は、日本に中国の傀儡政権を作れば、
「事実上の日本占領」は完成するでしょう。
なぜか。
南シナ海とは、原油や天然ガスを満載した日本の船舶が通過する、
極めて重要な海域であり、日本の命綱と言えるからです。
その上、日本は、
「脱原発」という原発ゼロ運動が盛んなので、
もし、この運動が長続きすれば(もちろん、長続きするように「工作」するでしょう)、
軍事的には、絶好のチャンスに見えます。
自然エネルギーが全く役に立たないのは計算済みです。
このようなエネルギーは、農業国ならばともかく、
工業用には、全く役に立たないが見えています。
太陽光発電は、晴れの日は大いに発電できるでしょうが、
曇りの日や雨の日は、どうなのか。
そういう日は、電力の使用をやめるのか。
風力発電では、風が吹かない時は、どうするのか。
そもそも、電力というものは、貯めることができないのを理解しているか。
さて、ここで、「アメリカが助けてくれる」と思った人がいるかもしれません。
しかし、「それは、甘い」と言わざるを得ないのです。
オバマ大統領は、「南シナ海を守る」と決意したようですが、
アメリカが、いつまで、その決意を維持できるか怪しいのです。
将来、アメリカの財政が苦しくなった時、
「南シナ海を守ることは、
アメリカにとって、経済的な利益があるか」と考える大統領が出現した時、
日本は、苦しくなるでしょう。
つまり、軍事よりも経済を優先する大統領が出現した時、
日本は苦境どころか、日本存亡の危機を迎えるでしょう。